5月29日(金)~5月31日(日)は日本武道館において第16回剣道世界大会が開かれた。18年ぶりの剣道の聖地日本武道館での開催ということもあり、プロモーションも功を奏したようで、最終日チケットは完売。大会記念グッズ販売コーナーも早朝より長蛇の列だった。武道館がある北の丸公園田安門をくぐると、駐車場に設えられた臨時の稽古場から外国なまりの「イチ ニー サン」が聞こえ、世界の文化が花開いていることを感じさせてくれた。おまけに期間中、トルコチーム応援団とも稽古ができた。平和に感謝。
試合は、環境やレベルの差はあるものの一本への執念を感じ、所作も立派な国が多く感動した。決勝の日韓戦では、両国とも勝ちへの執念がすさまじく、競技(スポーツ)としての側面が強いものだった。剣道を知らないカミさんは気迫が伝わりとてもおもしろく、勝ててよかったと興奮していた。素直な感想だが、本来の理合いある剣道からは、後味が少し悪い。また、反則と思われる鍔迫り合いが多かったことは、試合を演出すべき審判に物足りなさを感じた。
マスコミの記事は競技面を捉えたものが多かった。日本の文化である剣道に世界の人々が挑むことは、誇らしく思うが、一歩すすめて剣道の教養的文化的側面を取り上げていただきたかった。剣道の国際化を取り上げた記事もあったが、本来の剣道を忘れた国際化はありえない。閉会式における世界剣道連盟会長のオリンピックゲームへの参加呼びかけに、拍手がまばらだったことは観戦者の多くが、同じように感じているのかもしれない。世界で近代における合理的なものや経済的成功などの価値を乗り越えるものとして禅や武道を捉え、取り組む魅力のひとつになっているとするなら剣道はこれからも武道でありたい。最後に、韓国選手の「場外反則」場面におきた拍手の多くがお相手への励ましであったことを願う。